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時間が経って、やっと最後に、漆黒の瞳に青い髪の毛を持つ少年が目覚めた。
少年はゆっくりと起き上がり、魔王の前でひざまずく。
礼儀正しい凛とした少年に、魔王が北の青の鉱石で作った、銀の装飾の手鏡を差し出した。
「お前は水鏡を持って霊をつかさどる私のしもべ、霊鏡水(れいきょうすい)だ」
霊鏡水と呼ばれた少年は、両手で水鏡を受け取ると深々とお辞儀をした。
霊鏡水はほかの3人とすぐに打ち解けた。
それだけでなく、魂鏡火や死鏡風がはしゃぎすぎると注意し、生鏡光のゆったりとした雰囲気を壊さず会話を引き出し、見事にまとめあげていた。
「いやぁ、しっかりした子だねぇ。
霊鏡水はあの中だと浮いちゃうかと思ったけど、馴染みすぎててびっくりだよ」
不死鳥が感心していると、魔王が横から独り言のように呟いた。
「あの4人は兄弟のようなものだからな」
「にしては、魂鏡火・死鏡風のおてんば組と、生鏡光・霊鏡水のしっかり者組に別れてて、似てなさすぎじゃないかい?」
「ああ、それは、魂鏡火と死鏡風にはお前の鳥姿の血が、生鏡光と霊鏡水にはお前の人姿の血が入っている、それだけのことだ」
不死鳥は、険しい顔で、まばたきをくりかえした。
「あーはいはい、なるほどねぇ…。
すごい複雑な感情が芽生えたよ。
褒められたのに、けなされた感じ。
このモヤモヤどうしてくれるんだい?」
魔王は不死鳥の言葉に笑いながら、しもべの『四鏡司(しきょうし)』たちを見つめるのだった。
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