使者と魔王

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使者と魔王

使者の試練が始まってから、かれこれ数十年。 あの騒がしかった四鏡司も立派に成長していた。 しかし、試練の合格者はというと……。 まだ1人も出ていなかった。 使者の試練は、魔王と四鏡司たちが調子に乗って、難易度を上げすぎたせいで、死者も出るような試練になっていたのだ。 まあ、死んだ者はちゃんと不死鳥が生き返らせている。 「『使者』を選ぼうとしてるのに、『死者』が大量に出ちまうんだもんなぁ!」 魂鏡火のアホな言葉に、死鏡風と魔王だけが笑っていた。 しかし、その場にいた不死鳥は、心配そうにこんなことを言った。 「本当に合格者なんて、出るのかい…?  そろそろ出てくれないと計画に支障が出るよ」 魔王は笑みを顔に浮かべたまま不死鳥に言う。 「安心しろ。もう時期、優秀な者たちがあらわれる」 そして、その魔王の言葉は現実になった。 何十年もの間、合格者が出ていなかったのが嘘のように、一気に合格者が出たのだった。
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