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エピソードⅡ 殺し屋はお手伝いさん
次の日の陽子の朝は、早かった。
オレは、とりあえず、居間で寝起きしていたが、陽子は、まだ暗いうちに起き出して、仕事へ行く準備をしていた。
「ああ、すまないね。起こしちまったかい? これから仕事なんだ」
目覚めた、オレに向かって、陽子は言った。
「早いんだな。仕事って、スーパーの仕事か?」
オレを、拾ったのは、スーパーの路地裏だと言っていた。
「ああ、そうさ。仕入れからの仕事だから、早いんだ。夜も閉店が遅いから、帰りも遅くなるよ」
「……大変だな」
オレは、言った。
陽子は、笑った。
「いや、大したことないさ。それより、ジロー、あんたに家事を頼みたいんだが、いいかい? できる範囲でいいから」
「えっ? ああ、いいけど……」
オレは、今、この家の居候みたいなものだ。
家事の手伝いくらいはしないと。
「子供たちが起きて来たら、作ってある豚汁を温めて、食べさせてから、学校へ送り出して、簡単な掃除をして欲しいんだ。出来るかい?」
それくらいなら、ケガをしていても出来そうだ。
「ああ」
オレは、返事をした。
そうして、陽子は、まだ暗い街へ出て行った。
その後、陽子の言ったとおりに、した。
子どもたちは、素直に学校へ行った。
一人を除いて……。
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