エピソードⅠ 殺し屋と豚汁

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「あんたさあ、あたしが働いてるスーパーの路地裏に、血だらけで倒れててさあ、病院に連れて行こうと思ったんだけど、うわ言みたいに、『病院はダメだ……』って言い続けるからさあ」 女は、そう言って、オレの頭から、豚汁のお椀を取った。 「ちょいと、ごめんよ」 そして、豚汁でびしょびしょになったオレの頭を、布巾で拭いた。 オレは、動揺していた。 「……で、どうしたんだ?! ここはどこだ?」 オレは訊いた。 「だからさあ、仕方なく、うちに連れて帰った訳よ」 「ええっ?」 オレは、驚いて、周りを見回そうと、寝ていた体を起こした。 その途端、肩に激痛が走った。 「うっ!」 「ああ、大人しくしてなきゃ! あんた、大けがだったんだから。あたしが適当に手当てしたんだけど」 銃で撃たれた左肩には、包帯が巻かれていた。 サバイバルナイフで切られた右手にも、同じく包帯が巻いてあった。 オレが寝かされていたのは、居間のようだった。 だが、乱雑に物が散乱していた。 そして、女が、居間の外へ向かって叫んだ。 「おりゃー!!! みんな、さっさと起きて朝飯、食べなー!」
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