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「あんたさあ、あたしが働いてるスーパーの路地裏に、血だらけで倒れててさあ、病院に連れて行こうと思ったんだけど、うわ言みたいに、『病院はダメだ……』って言い続けるからさあ」
女は、そう言って、オレの頭から、豚汁のお椀を取った。
「ちょいと、ごめんよ」
そして、豚汁でびしょびしょになったオレの頭を、布巾で拭いた。
オレは、動揺していた。
「……で、どうしたんだ?! ここはどこだ?」
オレは訊いた。
「だからさあ、仕方なく、うちに連れて帰った訳よ」
「ええっ?」
オレは、驚いて、周りを見回そうと、寝ていた体を起こした。
その途端、肩に激痛が走った。
「うっ!」
「ああ、大人しくしてなきゃ! あんた、大けがだったんだから。あたしが適当に手当てしたんだけど」
銃で撃たれた左肩には、包帯が巻かれていた。
サバイバルナイフで切られた右手にも、同じく包帯が巻いてあった。
オレが寝かされていたのは、居間のようだった。
だが、乱雑に物が散乱していた。
そして、女が、居間の外へ向かって叫んだ。
「おりゃー!!! みんな、さっさと起きて朝飯、食べなー!」
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