エピソードⅠ 殺し屋と豚汁

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母親が、心配そうな顔になって、かずとと呼ばれた、メガネの男の子に訊いた。 「……ふみとは、また、起きて来ないのかい?」 「ああ、ふみとは、また、ずる休みですよ」 そう、かずとが、答えた。 母親は、ふーっと、ため息を吐いた。 「仕方ないねえ……」 「ところでさ!」 ひとみが、オレを見て言った。 「この人、大丈夫なの? 家に置いといて」 「そうですよ。こんな素性も知れない男を!」 かずとが、メガネをクイッと上げて言った。 「いいじゃん! だって、この人、めっちゃイケメンじゃない? それにケガしてるんだし。イケメンに悪い人はいないわよ! きっと、売れない俳優か、モデルよ!」 長い黒髪を揺らし、大きな瞳を輝かせて、ふつみが熱弁した。 すると、やんちゃそうだった、みんと、という小さな男の子が、オレをめがけて走って来た。 「ライダーキック!!!」 オレは、いきなり、銃で撃たれた肩に、キックを食らった。 「いてーっ!」 小さい子とはいえ、ケガをした体には、こたえた。 「何するんでちゅか?! みんとお兄ちゃん!」 そう、みみは言うと、オレの頭を撫でた。 「よちよち、ごめんね。痛かったでちゅね~」
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