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母親が、心配そうな顔になって、かずとと呼ばれた、メガネの男の子に訊いた。
「……ふみとは、また、起きて来ないのかい?」
「ああ、ふみとは、また、ずる休みですよ」
そう、かずとが、答えた。
母親は、ふーっと、ため息を吐いた。
「仕方ないねえ……」
「ところでさ!」
ひとみが、オレを見て言った。
「この人、大丈夫なの? 家に置いといて」
「そうですよ。こんな素性も知れない男を!」
かずとが、メガネをクイッと上げて言った。
「いいじゃん! だって、この人、めっちゃイケメンじゃない? それにケガしてるんだし。イケメンに悪い人はいないわよ! きっと、売れない俳優か、モデルよ!」
長い黒髪を揺らし、大きな瞳を輝かせて、ふつみが熱弁した。
すると、やんちゃそうだった、みんと、という小さな男の子が、オレをめがけて走って来た。
「ライダーキック!!!」
オレは、いきなり、銃で撃たれた肩に、キックを食らった。
「いてーっ!」
小さい子とはいえ、ケガをした体には、こたえた。
「何するんでちゅか?! みんとお兄ちゃん!」
そう、みみは言うと、オレの頭を撫でた。
「よちよち、ごめんね。痛かったでちゅね~」
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