エピソードⅠ 殺し屋と豚汁

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「なあ、みんな!」 母親は、豚汁を食べながら、オレと母親の話を聞いていた子供たちに向かって言った。 「この男、家で飼ってやろうと思うんだ。どうだい? ジローにそっくりな目をしてるよ」 それを聞いて、ひとみが言った。 「う~ん、確かに、この目つきの悪さ、ジローに似てるな」 すると、かずとが言った。 「ジローは、元が捨て犬だったから、初めは懐きませんでしたよね」 ふつみが言った。 「そうそう、寂しそうで哀愁があるところとか、そっくりね」 みんとが、走って来て、オレに飛びついて来た。 「お前、オイラの子分な!」 みみは、嬉しそうに、オレの頭を、なでなでして言った。 「今日から、あなたは、ジローでちゅ」 それを聞いて、母親が言った。 「ああ、本当の名前は、訊かないよ。ケガの具合からして、ヤクザもんかなんかだろう。この家じゃあ、ただのジローだ」 そして、気が付いたように付け加えた。 「あ、あたしの名前は、日向陽子(ひなたようこ)っていうんだ。よろしくな」 そう言って、陽子は、飼い犬を撫でるように、オレの頭をワシワシと撫でた。 こうして、オレは、日向家の新しい飼い犬となった……。
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