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-2話
「ねぇ、あの配信見た?昨日のバーチーのやつ」
「優斗君のでしょ、やっぱ自殺だったんだね」
よりによって今ここでそれ話すなよ。
先にロッカー使ってた別のクラスの子たちが希の前で暴露系YouTuberが明かした嫌な話題をつらつらと喋り出す。
「なんかさぁ、モデルのユカと繋がっててそれでクスリにハマったらしいよね」
「ああいう子でも、そういうことするんだね。ショックなんだけど」
「わかるわー」
耐え切れず俯いて黙り込む希の肩を思わず掴んだ。
「ごめん、私やっぱトイレ行きたいから付き合って」
開いたロッカーの扉の内側、こちらに微笑みかけてる優斗くんの切り抜きと目が合う。
全部あんたの所為だぞ、と睨みつけると、不意に切り抜きの上にある小さな鏡にミント色の髪が見えたような気がした。
「ほら、行こ行こ」
反応のない希を急かしてその場を後にする。
なんとなく振り返ってみたけど、ミント色の髪の人なんてどこにもいなかった。
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