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雨の日
出かける予定がないのなら、静かに雨が、サーサーと、降る日が私はとても好きだ。
ガラス越しに、その雨を、ぼんやりと見てる気持ちの中に、サティのジムノペディが傍にいる。
最近よく思う事がある。
いくつもの悲しい出来事を。
いくつもの辛い経験を。
私は忘れたいと思っているのか。
それとも覚えていたいのか。
どっちなのか分からなくなる。
あれほど苦しみに喘いだ記憶を、ずっと消したいと思っていた。
けれど消せないことに気づいた、やっと。
今まで隠してきたけれど、どんよりとした今日のような雲が私は結構好きなのだ。
青空と入道雲も好きだけど、雨の降る日のグレーの雲も、私はずっと好きだった。
夏空の、濃い青色のような、彼には話せなかった。
「暗い子」だと思われるのが怖かったし、
嫌われたくなかったから。
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