0人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも彼は、離れて行ったのだ。これからは嘘は付かずに生きたいと思う。
嘘をついてる時間などないのだから。
そういえば、自分に、とっても正直な彼もいた。
初めて部屋を訪れた時、彼の部屋には、あちこちに、砂時計が置かれていた。
机の上に、棚の隅に……とにかく色々な場所に、かなりの数の砂時計があった。
私は訊いた。
「何故こんなにたくさんの砂時計があるの?」
彼は、こう答えた。
「簡単だよ、生きることは、有限だと常に自分が忘れないようにさ」
そうだよね、人生は無限では、ないんだね。
どこかふわふわ生きてる、私みたいな者にも、終わりはやって来るんだった。
感心しながら、私は彼の本棚の本たちを見て、段々と怖くなっていた。
最初のコメントを投稿しよう!