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記憶
7人のイケメンは、黒い男以外あんまりいい顔をしてくれなかったが、黒い男の説得もあり白雪姫の部屋にしぶしぶ住まわせてくれた。
白雪姫とこの7人の騎士は一緒にここで生活をしていたらしい。毒リンゴを食べた白雪姫に王子がキスをすると、一瞬強い光が放ち、みんなが目をそらした後、白雪姫が私の姿に変わっており、私が目を開けたらしい。
それはみんなびっくりしただろう。
なるほど……起きた時のみんなのビッツクリした顔、王子がキレて帰っていったことが理解できた。
だいたい状況は把握できた。
確かに白雪姫はどこに行ったんだろう?あたしが住んでる家にいたりするの?いろいろ考えたら頭が痛くなってきた。
自分のいた世界に戻る方法もわからず、この森での今後の生活への不安もあって、もう頭の中がパニックになっていた。
いろんなことがあって疲れたあたしは、食事も食べずに白雪姫のベットで深い眠りについた。
私は夢をみた。
東京で美容師をしていた。同じ職場の先輩と付き合っていた。その日は先に帰っててと言われ、先に帰っていたが、忘れものに気づき職場に戻ると、いやらしい声が聞こえ、彼氏と友達の美雨が店で2人きりで、抱き合っていた。そして彼の声が聞こえた。
「雪とは別れたいけど、別れてくれない。美雨の方がかわいいし、身体の相性もいい。」
私は、真っ青になった。怒って怒鳴り込む勇気もなく、2人にバレないようにまたそっと店をでた。
そしてすぐに走りだした。親友と彼氏に裏切られて、
もうどこに走ってるのかもわからずにただその場に居たく無いという思いから……。
私は前からくる人と勢いよくぶつかりそのまま階段から転げ落ちた。どんどん意識が落ちていく。そのまま私は救急車で運ばれてベットの上に寝ていた。
夢はそこで終わった。
ーーそうだった。私死んだのかな?私がいなくなってハッピーエンドだね……。
眠ったままいつのまにか涙を流していた。ベットサイドにいた医者である青い男が優しく指で涙をぬぐってくれた。
目を覚まして青い男は言った。
「大丈夫。本気であなたに危害を加える奴はここにはいません。大好きだった白雪姫がいなくなったことが悲しいのです。貴方も知らない場所で心細いと思います。私の達の目の前で白雪姫が貴方になったのですから貴方を無げにはできません。ここで暮らすといいですよ。」
涙がでた。
「ありがとうございます。私が出来ることは少ないかもしれませんが、これからがんばります。よろしくお願いします。」
突然現代人がこんな何もない森の中で、生きることなど難しい。そして、思い出したくもなかった信頼していた人達の裏切り。人生のどん底としか思えない。
ーーあたしはまた人を信じることができるのかな?
好きな人ができるのかな?
もう人とはかかわりあいたくないけど、何もないこの森で生きていくには、人を信じないと生きていけないだろう。
この人達は少なくとも初めて会ったあたしに優しくし心配までしてくれている。今は頼るしかない。
ここからもう一度新しい人生を始めよう。
今は心から信じられないかもしれないけど。
今度は裏切られないように……。
裏切らないように……。
私にも優しくしてくれるみんなのために自分が出来ることが必ずあるはず。
今は少なくとも1人じゃないから……
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