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「いや、モテたりしてないって。情けない奴だよ、俺は。好きな子ひとり、彼女にできないような……」
「そんなこと――」
わたしの言葉を遮るように、さらに真剣な表情を向けてきた。
熱のこもった眼差しで。
急に周りの空気が濃密になったような気がして、息がつまりそうになる。
「あれからずっと悩みつづけて、やっぱり植田さんに俺の気持ちを伝えなきゃ始まらないって結論に達した」
おそるおそる彼を見る。
ずっと目をそらさない。
どうしよう。心臓が口から飛び出しそう。。
身体もそわそわする。
「今さら言っても、やっぱり信じてもらえないかもしれないけど……植田さんが好きだったんだ、ずっと。4年前、新入社員懇親会で司会をしている姿を見たときから。あとで彼氏がいるって知って、大ショックを受けたんだけどね」
「……島内さん」
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