第2章 傷ついたきみを甘やかしたい

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〈side Ryosuke〉 「めずらしいな。お前がひとりでこんな明るい時間から」  植田さんと一晩過ごした翌週の月曜日。    営業先から直帰の連絡を入れ、悪友、栗原がやっている新宿のバーに、開店前に飛びこんだ。    ひとりでいたら、自己嫌悪でどうにかなってしまいそうだった。 「えっ? じゃあ、あの4年越しの片想いの相手とついにヤッたの?」 「ああ」 「めでたいじゃん。で、なんでそんなに落ち込んでんだよ」 「彼女、長年付き合ってた恋人にフラれたばっかりでさ。で、食事に誘って慰めるだけのつもりだったんだけど……ああ、俺、絶対、軽蔑されてる。精神的に参ってる彼女につけ込んだ……卑怯な男だって」  カウンターに突っ伏す俺の横に、栗原はハイネケンの小瓶を置いた。
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