第2章 傷ついたきみを甘やかしたい

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 食堂やエントランスでそれとなく探したけれど、偶然の出会いという幸運は訪れなかった。  でも、意外な形で、その幸運はやってきた。  入社してひと月ほど経ったころ、早々とロッカーの鍵を失くしてしまった。  主任に尋ねると、 「ったく、早すぎんじゃないのか、失くすの」  と小言を言われながら「総務に頼め」と教えられた。  すいませんと頭を掻きながら席に戻って、彼女が出ればいいと思いながら、内線をかけた。  すると……  受話器の向こうから、あの、澄んだ声が聞こえてきたのだ。  ラッキー!  俺は胸の内で叫んでた。  いやー、良かった。  鍵、失くして。     総務にも予備はないらしく、合い鍵を作るのに中1日かかるという。 「それまでにロッカーから出さなければならないものはありますか? マスターはあるので開けることはできますけれど」
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