第2章 傷ついたきみを甘やかしたい

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 そして総務に出身大学の後輩がいることも突き止め、さりげなく彼女のことを探った。  と、ここまでは順調だったんだけど…… 「美人っすよね。植田さん。でも無理だと思いますけどね。大学のころから付き合ってる彼氏がいるらしいですよ」  後輩の無情な言葉が、俺を奈落に突き落とした……  彼氏持ちかあ……  そうだよな。男がほっておくわけないか。  あんな、たおやかな雰囲気の美女、今どき希少価値だし。  で、諦めようと他の女の子と付き合ってみたりもしたけれど、彼女以上の人とは出会えなかった。  俺は植田さんに声をかけ続けた。 断られるのはわかった上で。  だから、3日前の夜は4年越しに望みが叶って、完全に舞い上がってしまった。  東京タワーが見えるラウンジで、彼氏と別れた理由を聞いているあいだ、身勝手な相手の男に、腹が立って仕方がなかった。
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