6374人が本棚に入れています
本棚に追加
第1章 差し伸べられた手
【その日の朝】
まぶしい……
地下鉄の駅から地上に出ると、外は目がくらむほどの陽光に満ちていた。
3月初旬。空気はまだまだ冷たいけれど、柔らかい陽ざしはすでに春の気配を感じさせる。
空は青く澄み、風もおだやか。
でも、今のわたしには好天はなぐさめどころか、憂鬱な気分にいっそう拍車をかけるだけ。
明日はやっと土曜日。
この一週間は本当に長かった。
うとうとしても、すぐ目が覚めてしまう日が続き、慢性の寝不足状態。
それがもう、ひと月あまり続いている。
最初のコメントを投稿しよう!