第3章 諦められない、とても

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「また信用してくれない……植田さん、俺をどんな男だって思ってんの」 「でも……すごく慣れてる感じでした、島内さん」 「内心めちゃくちゃ舞い上がってたんだけど」  身体を起こして、カフェオレを一口飲んでから、彼は続けた。 「ほら、今だって。聞かせてやりたいよ。どんだけ心臓がバクついてるか」  カップを置き、右手を左の胸に置いて、恥ずかしそうに目尻に皺を寄せて笑った。  うわ、なんて優しそうな顔で笑うんだろう、この人。  この間は自分の気持ちを保つのに精いっぱいで気づかなかったけれど。  普段がクールな印象だから、このギャップはずるすぎる。  この笑顔、必殺技だと思う。    うーん、でもやっぱり、彼の言葉を鵜呑みにできない。   「でも島内さん、会社で一番モテる人だし。周りに綺麗な人が大勢いるし。やっぱりその話は信じられないです」
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