海辺の記憶

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美夜は今日が誕生日だ。 30代も、折り返しになった。 人はよく「アッという間に歳を取る」 「時間が過ぎるのが早くなる」 そういうけれど、美夜は違った。 一日、一ヶ月、一年。 とても永い。 それはたぶん、《待ってるから》 何かを待っていると、時の流れは遅くなる。 早く早くと急いてしまうから。 美夜は本当は分かってる。 “待つことをやめた方が自分が楽になれる” 分かっていることと、 それを出来ることは違う。 苦しいと思っても、やはり待つ、待ち続ける。 それが美夜の出した結論なのだ。
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