海辺の記憶

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会社にいても、家に帰ってからも、美夜は携帯を離さない。 いつ電話がかかってきてもいいように、しているから。 とにかく一日中、美夜は待つ生活を送っている。 どんなに、クタクタに疲れようと。 最近、同じ夢を見る。 極度の高所恐怖症なのに、高層ビルの、非常階段で、動けずにいる自分。 少しでも、下を見ると震えが止まらなくなっている夢。 目覚めると、いつも、汗をかいている。 本当は美夜は怖いのだ。 待つことが、とてつもなく怖い。 何故なら、期待をしているからだ。 待った先に、自分が望んでいる答えが、なかったら、私はどうなってしまうのかを考えると、不安にやられそうになる。
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