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「エルミナ様、これが終わったら公爵家にお戻りになるんですよね? マリベル様もお元気になられる?」
「ええ、金平糖の毒は中和されるはずよ。間に合えばだけど」
セシルの問いにエルミナは不安げに答える。
あの時、マリベルの食べた金平糖には確かに毒が含まれていた。
人体に悪影響があるなど誰も知らなかった青色の色素に含まれた毒物は、本来少し熱が出たりお腹を壊したりする程度の些細な毒だった。
そのことが分かった時にはすでにマリベルが倒れたことが噂になってしまっていて、これが金平糖の毒が原因と知れわたれば、口にした者たちのパニックは避けられない状況にあった。
そう判断した公爵は秘密裏にこの事件を処理し、噂の中心にいたエルミナを守るために、まだ幼く入学の年齢にも達していない彼女を王都から学園に避難させることに決めたのだった。
公爵夫妻がこの話をしていた時、エルミナとアリエラは扉の外にいた。
エルミナは凍り付き、アリエラは青ざめて目を見合わせたのだ。
エルミナは自分の罪の重さに震え、必ずマリベルを元気にして見せると今日の今日まで研究を続けてきた。
仲の良かったはずのアリエラがこの日以来冷たくなったことは、マリベルを思えばこそと諦めていた。
今ようやくマリベルを苦しめ続けている毒を何とか出来るところまできたのだ。
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