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公爵夫妻はマリベルを助けたいが大々的に研究を進めるわけにはいかなかった。
あの毒物事件は世の中的にはなかったことになっている。
なかった毒の研究をどうやって進められるというのか?
あの日娘たちに聞かれてしまったことにすぐに気が付いた二人はひどく後悔していたが、同時にエルミナが研究を始めたと聞いて藁にもすがる思いだった。
いくら聡明な娘とはいえ、幼い娘に多くを押し付けてしまっていることが、いかにひどいことなのか公爵夫妻は十分に理解していたが、二人手を取り祈る思いで見守ることしかできなかった。
エルミナの帰省の知らせは公爵家の人々に様々な気持ちを抱かせた。
ただ純粋にそれを喜ぶマリベル。
うれしい反面、報告で聞いた愛する娘の変わってしまった姿を見ることに不安を覚える公爵夫妻。
真実が明るみに出る時が来たのかもしれないと怯え寝込んでしまったアリエラ。
様々な思いを抱えた公爵家に馬車から降りたエルミナは駆け込んできたが、それはもう学園にいた時の彼女ではなかった。
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