51人が本棚に入れています
本棚に追加
「エルミナったらまた欠席なの? いいご身分ね」
「アリエラ様とは大違いだわ」
「なぜアリエラ様がエルミナの代わりをしなきゃならないの」
あからさまなエルミナ批判に、アリエラはゆっくりと振り返る。
「私のことを思ってくださるお気持ちは嬉しいのですけれど、お姉さまを責めるのはおやめくださいませ。ミナは私の家族ですのよ」
エルミナをかばっているように見えるアリエラだが、擁護する言葉はない。
途端に講堂は静かになるが、誰ひとり納得しているものはいない。
その家族を危険に陥れたのは、エルミナではなかったのか?
二人の妹マリベルが、11歳になった今もどの学園にも通えていないのが、その証拠だと言われている。
エルミナが姉と妹の美貌や才能をねたんで毒を盛った、そんな話がまことしやかに囁かれているが、アリエラの立場をおもんばかって誰も大っぴらには話さない。
幼く体の弱かったマリベルだけが、今もほとんど起き上がることができないのだが、三人の父であるフローレンス公爵が、その毒殺未遂事件を握りつぶしたというのがもっぱらの噂だ。
最初のコメントを投稿しよう!