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ダメだと叫びたくても声が出なかった。
現実にそれが起こった時のエルミナはまだ7歳で、その金平糖がマリベルにどんな影響を与えるか知る由もなかった。
だがそんなことは言い訳にはならないとエルミナは考えていた。
マリベルの健康的な人生を盗んでしまった自分をエルミナは許せずにいた。
殺人未遂の噂はエルミナの耳にも入っていたが、それを否定するつもりもなかった。
静かに窓を開け、ひんやりとした風を呼び込んだエルミナは、ゆっくり呼吸を整える。
空はまだ暗く、鳥のさえずりさえ聞こえてこない。
「ベル、ごめんなさい。もう少しだから……」
エルミナのそのつぶやきを聞くものは誰もいない。
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