少女は金平糖の夢を見る

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 ここキエルフリアはリグラント大陸北端の国だ。 その中でも特に優秀な子女が学ぶこの学園は、最北の地にある。  冬の訪れが早く、凍える寒さが長く続く学園なので、冬期休業は3か月にも及ぶ。  厳しい寒さの学園に残るものは、なにかしら特別な理由があるわずかなものだけだ。  ましてや社交の季節を迎える冬に、貴族の娘が王都に戻らないなど本来ありえないことだ。  入学以来一度も学園を離れていない貴族の子女はエルミナただ一人だけなので、また事件を起こすのを恐れられて家に戻れないのだろうという憶測が広がっていた。  普段はほとんど自室と研究室の往復しかしないエルミナだが、この休暇中は密かに旅をする計画を立てていた。  終業式当日のうちに支度を整えた生徒たちは我先にと学園を後にした。  学園に残る者がいるとはいえ、貴族の自室は彼らのそれとは離れたところにあるので、誰もエルミナに注目しない。  自らの侍女や護衛騎士も理由をつけて帰してしまったので、エルミナを止める者はだれひとりいないのだった。
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