少女は金平糖の夢を見る

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 それでも用心のため誰も起きない今のうちに出発しなければと、エルミナは急いで隠していた荷物を取り出した。  旅は初めてだが必要なものはおそらくそろっている。  出入りの少年から手に入れた旅の服に着替えを済ませ、髪を躊躇なく切り落としたエルミナはもう貴族の娘ではなかった。  食が細いエルミナは、15歳になった今も女性らしい凹凸が少なく、化粧さえしなければ女性だと気付く者はおそらくいない。    すっかり旅支度を整えたエルミナだが、扉には向かわず再び窓に向かった。  エルミナが小さく呪文を唱えると浮遊魔法が発動した。  人一人浮かせるとなるとかなり難しいはずだが、学科はもちろん魔法の実技もずば抜けているエルミナには簡単なことだ。  エルミナは窓をそっと絞め、学園を静かに離れた。
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