少女は金平糖の夢を見る

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 エルミナが目指すのは冬の森の奥にある険しい岩山だが、さすがに一人で向かうほど馬鹿ではない。  ひと目につかない場所を選んで地上に降りると、人を雇うためギルドを目指した。  例の少年がエルミナの持っていた宝石の換金に協力してくれたのでお金には困っていない。  それでもエルミナと一緒に行ってくれるものはなかなか見当たらなかった。  それだけ森は厳しく岩山は危険なのだ。  もちろんそういった危険な仕事をする者もいるにはいるが、残念なことに出払っているらしい。  彼らの帰りを待つか、新たな登録者に期待するしかないのだが、この冬に結果を出したいエルミナは苛立ちを隠せずにいた。  実力なら自分がカバーできると思うが、ギルドに登録したばかりのエルミナは、自らの実力を証明する手段を持ち合わせていない。  祈る気持ちでしばらく待って見たが、時間だけが過ぎていった。  滞在先を決めて待つしかないと考え、ギルドを後にしたが、その直後にエルミナの前に立ちはだかる者がいた。
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