第1章

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第1章

「あ〜疲れた。ただいまー」 と虚しい声が家の中に響く。 「よいしょっと。」 仕事帰りにスーパーに寄って食材を買ってきたので、腕が重くそんな事を呟いてしまう。一旦冷蔵庫付近にエコバッグを置き、自分は洗面所に向かいまずは手洗いうがい。それから着ていた仕事着から部屋着へと着替えた。時間をチラリと確認すると今は18時半。19時半までに1時間あるから買ってきた食材を冷蔵庫や冷凍庫に詰め、夜ご飯の準備に取り掛かった。今日はちゃっちゃっと生姜焼きとキャベツの千切りにしよう。味噌汁は昨日作ったのがあるからそれを温め直して。無事に19時半までにはテーブルにご飯たちが並ぶ。 「いただきます」 私はアイリ。一人暮らしをしている25歳。仕事はOL。最近の悩みは私一人しか居ないのについつい独り言を言っちゃうこと。そんな事をボーッと思いながらテレビの電源を入れYouTubeを接続させる。そして19時半になったら 「どうもツバサです。今回ですけども」 と楽しみに待っていた動画が再生され始まる。彼は今をときめくYouTuber。職業はカリスマとツバサ本人が言っている。私は毎日この19時半になるのを楽しみに生きている。それは彼と画面越しに会えるから。仕事の日は彼を見るだけで仕事の疲れが吹っ飛ぶし、休みの日は彼の笑顔で癒される。それほどまでに今の私の生活には彼が当たり前の存在になっており、日課であり楽しみな時間だ。
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