第5章

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トイレの個室に入って1度盛大なため息を吐く。あーどうしよう。勢いのままに好きって言っちゃったよ。しかも好きな部分を聞かれてもないのにあんなにペラペラと言ってしまった。引かれちゃったらどうしよう…面倒臭い人って思われて関わってくれなかったらどうしよう…とどんどん自己嫌悪に陥っていく。 「あーぁ…もうダメかな…」 誰もいない空間にポツリと独り言が響く。もうツバサとは連絡取れなかったり会えなくなっちゃうのかも…やっちゃったと後悔しながらトイレは長居しても他の利用者さんに迷惑かかってしまうので、仕方なくツバサが待つ個室に向かった。気が重く扉を開けるのを躊躇していると 「おわ、ビックリした」 中からツバサが出てきて、 「俺もトイレ行ってくるわ」 ポンと頭に手を乗せられ、その一連の流れにまた胸がドキッと鳴る。 「行ってらっしゃい?」 変な言葉を口にし、私は入れ替わるように個室の椅子に座った。テーブルを見るとデザートが運ばれており、だけどツバサの方は食べられてなくて待たせてしまったのかな。と私も大人しく戻って来るのを待つ。 「先に食っとって良かったのに」 戻ってきたツバサにそんな風に言われ 「でも待っててくれたんでしょ?」 「いや?そういう訳じゃねーよ?運ばれてきたから先トイレ行っとこうと思って行ったから」 なんだ。タイミングだったのか。それでも私が先に食べるのを待っているから、本音はきっと待って居てくれたのだろうとまた優しさに触れてドキドキが止まらない。
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