第6章

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恐る恐る震える手でオートロックボタンを押すと 「はい」 しばらくしてツバサの声が。 「あの…アイリです」 「おう、上がって」 同時にオートロックが開き 「お邪魔します」 何故かそこで一言。モニターはとっくに切れており、周りから見たら不審者に間違われると思い、そそくさとエレベーターに乗り込む。階が上がることに私の心拍数も上がっていく感覚に陥る。 「〇階です」 エレベーターのドアが開き、いよいよツバサの階にたどり着いてしまい後戻りは出来ない。重い足取りを引きずるようにして、ツバサの家の前に着いてしまった。とりあえずゆっくり深呼吸して、呼び鈴を鳴らすか迷っているととつぜんガチャりと鍵が開く音がなり、玄関ドアが開き 「へっ!?」 思わずビックリし、変な声が出た。 「いやー、中々来ないなと思って迷ってるんじゃねーかと思ったけど、そんなとこで何してるん?」 「いや…ちょっと…」 「とりあえず中入れば?」 こうなったら後戻り出来ないし、促されるまま 「お邪魔します…」 「とりあえず靴脱いで着いてこい」 そんな事言われたら着いていかないという選択肢は出来ず、ツバサの背中を追うように家の中へと入っていく。 「うわー!いつも見る光景!ツバサの家だ!」 さっきまでの緊張はどこへやら。YouTubeでいつも見る背景に目を輝かせる。 「やっぱお前おもろいな。好きに見ていいぞ。写真も撮りたかったら撮っていい」 「本当に?いいの?」 「あぁ。満足したら教えて」 ツバサはソファの元へ向かい、どかっと座ったので 「あ、これ手土産です。確かプリン好きだよね?と思って買ってきたんだけど」 「じゃあ冷蔵庫入れといて。アイリの探検が終わったら一緒に食お」
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