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翌日。朝はアラームで起きて、ある程度準備を終えた所でツバサを起こす。
「ツバサ〜起きて、温泉行こう」
「んーもうちょい」
「道中ブラブラしながら行くんだよね?ならもう少しで出ないと…」
「んーもうちょい」
「ツバサさん?起きて?」
「アイリこっち」
と言うや否やツバサの腕が伸びてきて私の腕を掴み、ベッドの中に引きずりこもうとする。
「ツバサさん、温泉旅行行かないの?」
「んーもうちょい」
「じゃあ私一人で行くね。だから腕外して」
「なんでやねん」
そこでやっと目が開かれ、むすっと拗ねた表情。
「だって起きないもん。言っとくけどツバサ起こしたのは結構ギリギリな時間よ?昨日寝る前髪はどうせセットせずに帽子被るって言うから、だったら着替えと洗面ぐらいだなーと思って、ギリギリに起こしに来たの。なのに全然起きないもん。私は楽しみにしてるのに…眠たいのも疲れたのも分かるけど、ちょっと寂しい」
私だって意地悪で起こしてるわけじゃないし…だんだん悔しくなって正直に気持ちをぶつけてみた。
「ごめん、ほんまごめん。ちゃんと起きて準備するから一緒に行こ?」
起き上がってベッドに腰かけながら、申し訳なさそうな顔して頭をぽんぽんしてきて…そんな事されたら許さない訳にもいかずコクって頷くと
「よっしゃぁ!なら気合い入れて準備しよか〜」
「朝ごはんはどうする?家で食べる?外で食べる?食べるならチャチャッと作るけど」
「せっかくなら外で食おうや。アイリはゆっくりしとき。起こしてくれてほんまありがと」
こういう優しさを与えてくれるから私もツバサに甘かったりする。さっきの悔しい気持ちは吹き飛んで、ツバサの準備が終わるのを眺めて待っていた。
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