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最終回
「まずレンカ姫、今後はドラミング共和国とハシーノ国は友好的な関係でいましょう」
「はい、それでは早速で申し訳ありませんが食料が不足しております」
「そうであったな、後日・・・」
「後日では遅いです!今日にも飢えた民がいるのです!!」
「う・・・うむ・・・」
クイサーブは騎士団の一人を伝令係としてすぐに出発させた。
「レンカよ。これでよいか?」
「はい、ありがとうございます。クイサーブ様!私は貴方を誤解していました。貴方こそ、真の男、真の王なのですね!!」
「うむ!分かってくれれば良い」
レンカはクイサーブの横につくと毛だらけの頬にそっとキスをした。
「私の気持ちです」
「ウホホホ~!!」
「クイサーブ様、いえ親しみを込めて敬称を省きます。クイサーブ、レンカの頼みを聞いて下さい」
「うむっっっっっっっっっ!!何でも言うが良い!」
クイサーブのあまりにも興奮した鼻息の風圧で、近くにいた数名が空に消し飛んだが、会話は続けられる。
「今回の襲撃で多くの民の家が破壊されました。修復工事の為に、屈強な人手が欲しいです」
「分かった、それもすぐに手配しよう」
「また魔物に襲撃されるかもしれません。護衛の兵を常駐させて下さい」
「そうだな、分かった」
「ハシーノは収入となる事業が少ないです。仕事を斡旋して下さい」
「うむ、利益の多い事業を紹介しよう」
「学校を作って下さい、それから優秀な教師もセットで」
「うむ」
「定期的に甘い物が食べたいので宮廷パティシエを雇いたいです、給料はドラミング共和国持ちで」
「うむ」
「猫を飼いたいです、獣医とトリマーもつけて下さい。あ、これも費用はドラミング共和国持ちで!」
「うむ」
「クイサーブ、さっきから『うむ』しか言ってないけどちゃんと聞いてる?」
「聞いているとも!」
「信用できない!ちゃんと誓約書書いてください、タブラリゴ家の印も押してくださいね」
甘い声で囁くレンカ。
「全く仕方ないなあ」
デレデレと鼻の穴と頬を緩めながら、クイサーブはレンカとの約束を書に認めた。
「これで良し!」
「レンカ姫よ、肝心な話がまだだぞ」
「え?他に何かあったかな?」
「我とレンカの今後についてだ」
「え?・・・あ・・・ああ!そうだったわね」
クイサーブは片膝をつき、レンカを見つめる。
傍観者たちの視線にも熱がこもる。
「レンカよ、そなたの気高さに我は心惹かれたのだ。改めて我タブラリゴ・クイサーブはブチギ・レンカ姫に愛を捧げると誓おう。我の妻となり両国を盛り立てて行こうぞ」
「嫌です」
「ウッホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
ー終ー
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