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タブラリゴファミリー
「ウホ~・・・」
深いため息をつくクイサーブ。
「どうした息子よ」
「あ、父上」
クイサーブの父にして現当主タブラリゴ・ルーホクッビンイツ(69歳)が、息子を訪ねて来た。
鼻の穴の広さは息子に勝るとも劣らない。
「何か悩みが有るのか?」
「はい、実は縁談が上手くいっておりません」
「ほう」
「しかも原因が分からないのです」
「クイサーブよ、ならば聞け。余が妻のガーブーを射止めた時の話だ」
「おお!母上の!初耳でございます」
「うむ、この世界とはまた異なる世界では必殺の恋愛テクニックがあるのだ。余はそれを突き止めた。その必殺技とは壁ドンじゃ!」
「か・・・かべどん?それは如何なる方法で?」
「うむ、まず意中の女子を壁際まで追い込むのじゃ」
「はい」
「そして壁に背を付けた女子の顔面すぐ近くの壁をドン!と叩く」
「はい」
「以上じゃ」
「・・・それだけですか?」
「うむ」
「よく分からないのですが・・・」
「しかし実際に余はガーブーを射止めたぞ」
「おお、確かに」
「実践あるのみじゃ」
「はい」
そして・・・数日後。
場面は一気に3回目のお見合い現場。
既に壁際まで女性を追い込む事に成功したクイサーブ。
「ひいいいいい!!」
巨大な鼻の穴を持つ全身体毛の大男に壁まで追い詰められて、恐怖に震える女性。
(んー、どう見てもこの人怖がっているよな。だけどなぜ?いやとにかく父に言われた通りやってみよう)
クイサーブのこの素直さは罪である。
「ウホッ!!」
掛け声と共に思いっきり壁に掌底突きしたクイサーブ。
ドンガラガッシャーーーン!クイサーブのゴリ・・・もとい馬鹿力は壁をドンするどころか破壊してしまった。
ガラガラ~っ!壁が崩れた勢いで、天井も崩れてきた。
「あれ?壁ドンじゃなくて壁ドンガラガッシャンになっちゃった」
崩れた天井の一部がクイサーブの脳天に直撃したがノーダメージ。
女性はとっくに恐怖で失神していた。
「父の言われた通りしたのに失敗した、何故⁉・・・はっ!そうか!!我がタブラリゴ家の男子が壁にドンすれば壁を破壊してしまう。壁を壊さずそれでいてドンと音がなる絶妙な力加減を求められていたのだ!!」
自論に疑いを持たないのもクイサーブの長所でもあり短所でもある。
「壁ドンをマスターする事でちょうどよい力加減を学べば、女子が我に落ちる!そういう事ですね父上!!奥が深いぞ壁ドン!!」
もちろん破談となった。
おあとがよろしいようで。
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