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死の覚悟も上回る②
「では、これよりタブラリゴ・クイサーブ殿下とブチギ・レンカ姫の縁談を始めます。双方、お顔を上げて下され」
クイサーブの側近が縁談開始の号令を取った。双方、伏せていた顔を上げお互いの顔を初めて見る事になる。
「うおっ!!」
クイサーブの顔を見たレンカは、驚きのあまりつい声が出てしまった。
「どうされた?」
相変わらず自分の顔のインパクトが分かっていないクイサーブ。
「い、いえ・・・荘厳なお顔立ちについ、歓喜の声を上げてしまいました」
「うむ、そうであるか」
(なんだあの顔は?デーモンの方がまだマシ・・・私はあれと初めての口づけをするのか?・・・はっ⁉私は何を考えている!国民がデーモンの襲撃に怯え夜も眠れぬ日々を送っているのだ。私はクイサーブの妻になるのだ!)
「わ、私は、クイサーブ様のご高名を聞き、ぜひ妻になりたいと願い、ドラミング共和国までやってきたのです」
「うーむ・・・そうであるか」
(ん?何か・・・反応が悪いぞ。まさか、私があの顔に驚いた事に機嫌を損ねたのか?まずい!)
「あ、あのクイサーブ様」
「なんだね」
「私、何か誤解を与えるような言動がありましたか?」
「誤解?」
「いえ、その、何か、あまり私との話に集中されていない様な・・・」
「ああ、すまん。確かに他の事に気を取られていた。許せ」
「いえ、タブラリゴ家の長男であれば心労も多いかと思われます。私は全然気になどしておりません」
「そうか」
「あの・・・差支えなければ何を気にされているのでしょうか?」
「うーむ・・・しかしハッキリ言っていいのかどうか」
「私の事でしたら全然気にしないで頂きたいです。妻になろうと思ってここに来ているのですから、クイサーブ様の全てを受け止めたいのです」
「なるほど、確かにな。遠慮する方が失礼というものか」
「そうでございます!」
(お!いい雰囲気になって来たんじゃない?)
確かな感触を得るレンカ。
「ではハッキリ言うぞ」
「はい」
「レンカ姫は貧乳であるな」
ピキッ!レンカの額に血管が浮かび上がった。
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