ハシーノ国

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ハシーノ国

数日後、首都ハシーノは炎と悲鳴に包まれた。 重要拠点をデーモンたちに次々と制圧されていく。 デーモン軍勢はハシーノ城のすぐ近くまで来ていた。 「姫様、脱出の準備が整いました。こちらへ」 「何を言う、この失態は私の落ち度だ。おめおめと生き永らえる気など無い、ここで迎え撃つ」 「姫様!」 「セバス、15年世話になった。その荷物はお前が使え、私のせいでお前まで死ぬ事は無い」 「ふっ・・・お供しましょう」 「そうか・・・すまん」 そうしているうちにデーモンの軍勢は目前まで迫っていた。 「総員で迎え撃つ!私も行く!行くぞーーー!!」 「おおーーーー!」 レンカ姫を先頭に衛兵100名程が後に続く。 本来、大将とは後方に控えるものだ。 なのになぜレンカが先頭なのか? 皆、勝てない事は分かっている。 食糧不足で落ちた体力、ボロボロの装備、デーモンの軍勢は500以上。 ならば敬愛する姫と共に皆で散ろう、この部隊はそんな思いを抱えてデーモンの群れに突撃したのだ。 「皆ありがとう!」 確実に死ぬ、しかし恐怖は無く誇らしい気持ちだった。 「はあああーーーー!」 1匹のデーモンに向かって剣を振り下ろすレンカ。 ガキーーーン! その一撃はデーモンの背中にヒットしたのに、剣の方が折れてしまった。 一国の姫の武器ですらもうボロボロだったのだ。 「ふっ・・・」 レンカはその場に観念して座り込んだ。 「グアオオオオオオオーーーッ!」 レンカ目掛けて、拳を振り下ろすデーモン。 (皆、さらばだ) そっと目を閉じた・・・・・・・・・がいつまでたっても拳が自分の頭に当たらない。 バシィィィィン!! 「ウッホーーーーーーーーーーーーー!」 3メートルを越す体格のデーモンの拳をクイサーブが受け止めていた。
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