6.エピローグ

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ふと目が覚めて時計を見ると、まだ早朝の5時半だった。 横を見ると、桜が穏やかな顔で眠っている。 『直生と一緒なら、よく寝れるのにな・・』 「ほんとに、毎晩よく寝てる」 頬にかかる髪に指を伸ばすと、ふっと目を開けて俺を呼んだ。 「な・・ぉ・・」 「ん? まだ早いよ」 「今日も・・明日も・・これから先も・・・・」 「心配しなくていい。ずっと一緒だ」 「ん・・よかった」 そのまま再び眠りにつき、少し力の抜けた桜の手に自分の指を絡ませる。 持ち上げると、ピンクゴールドのマリッジリングが光っていた。 『カルティエにしようかな・・ピンクゴールドがいいかなって』 この指輪は桜のお気に入りだ。 傷がつくのが嫌だからと洗い物をする度に外すのが心配で、失くすぞ〜と脅すと半泣きになった。 「そんなに傷が気になるなら、アレを真似すればいいんじゃないか?」 たまたま目に入った、テレビの韓流ドラマを指差す。 「あ、ゴム手袋で洗い物・・。確かに・・あれなら洗剤で手荒れもしないよね・・。私、コンビニ行ってくる!」 それ以来、リングを外すことは無くなったはずだ。 よく見ると細かい傷はいくつかあるけれど、それもふたりが重ねる日々を、少しずつ刻んだ証だと思うから。
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