5.決断

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「本当に私も書かせていただいていいんですか?」 親父に書いてもらった後、ひとつ残った婚姻届の保証人欄を、西川に書いてほしいと伝えた。 「いまの俺があるのは、西川がいてくれたからだ。・・惜しいけど、そろそろ兄貴に返さないとな」 「専務・・」 苦しかった俺の1ヶ月を、影で支えてくれたのは西川の存在だった。 兄貴は、何の気なしに西川を俺に付けてくれたようだったけれど、いつもと違う状況を見抜いていたのかもしれない。 「そうなんだ、西川さんは服部社長付きだったのね・・。でも今後は直生にも、誰か信頼できる人がそばにいた方がいいんじゃない?」 「そうだな。桜ちゃんと直生は、今後夫婦で動くこともあるだろうし、そういう時に小回りが効く者がいると助かるはずだ。俺が玲生に話しておこう」 それを聞いた西川の表情が、パッと明るくなった。 「会長! ありがとうございます!」 「西川、あんまり喜ぶと兄貴に睨まれるぞ」 「アハハ・・。専務、区役所までお送りしましょうか? 婚姻届、提出されますよね?」 「ああ、頼むよ。桜、行こうか」 ふたりで区役所へ行き、俺たちは『夫婦』になった。 「さて・・次は指輪だな。桜、どのブランドでも好きなの選んでいいぞ」 「えー? 何よそのお金持ち発言は」 そう言って桜は笑った。
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