5.決断

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「じゃあ・・カルティエにしようかな・・・・ピンクゴールド、ちょっと憧れてたから」 小さくつぶやいた桜に、少しいたずら発言をする。 「カルティエね・・。オーケー、パリ本店でいいだろ?」 「えっ、パリ? 冗談でしょう?」 桜が目を見開く。 「じゃあ・・さ、マリッジリングはすぐ欲しいから銀座本店。順番が逆になって申し訳ないけど、エンゲージリングはパリ本店で買ってもいいか?」 「直生、本気なの?」 「ふざけてるように見える?」 「全然。見えないから怖いのよ。本気でパリに行くつもり?」 「当然だろ。さ、まずは銀座に行こうぜ」 スッと肩を抱いた俺に、桜は苦笑いした。 1週間ほどで、俺たちの左手薬指には桜が選んだマリッジリングが収まった。 「なんかいいな~。結婚したって感じがする」 「・・大事にする。ありがとう、直生」 エンゲージリングも結婚式も、順番が逆になってしまったものがいくつもあるけれど、もう誰にも遠慮せずにふたりで過ごせることが、何よりも嬉しかった。 『明日も明後日も、こうして一緒にいたいだけよ』 そんな桜の望みを、ようやく叶えてやれたから。 「直生、ご飯にしよ〜」 キッチンから桜に呼ばれて、ダイニングテーブルに向かう。 「今夜のご飯は何? それより、桜のエプロン姿が可愛いんだよな」 「えっ、そうかな・・」 「赤くなってる、ほら可愛い」 「もう・・手元がくるってこぼしそう・・。恥ずかしいってば」 からかい半分で後ろから抱き締め、桜にキスをした。
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