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「じゃあ・・カルティエにしようかな・・・・ピンクゴールド、ちょっと憧れてたから」
小さくつぶやいた桜に、少しいたずら発言をする。
「カルティエね・・。オーケー、パリ本店でいいだろ?」
「えっ、パリ? 冗談でしょう?」
桜が目を見開く。
「じゃあ・・さ、マリッジリングはすぐ欲しいから銀座本店。順番が逆になって申し訳ないけど、エンゲージリングはパリ本店で買ってもいいか?」
「直生、本気なの?」
「ふざけてるように見える?」
「全然。見えないから怖いのよ。本気でパリに行くつもり?」
「当然だろ。さ、まずは銀座に行こうぜ」
スッと肩を抱いた俺に、桜は苦笑いした。
1週間ほどで、俺たちの左手薬指には桜が選んだマリッジリングが収まった。
「なんかいいな~。結婚したって感じがする」
「・・大事にする。ありがとう、直生」
エンゲージリングも結婚式も、順番が逆になってしまったものがいくつもあるけれど、もう誰にも遠慮せずにふたりで過ごせることが、何よりも嬉しかった。
『明日も明後日も、こうして一緒にいたいだけよ』
そんな桜の望みを、ようやく叶えてやれたから。
「直生、ご飯にしよ〜」
キッチンから桜に呼ばれて、ダイニングテーブルに向かう。
「今夜のご飯は何? それより、桜のエプロン姿が可愛いんだよな」
「えっ、そうかな・・」
「赤くなってる、ほら可愛い」
「もう・・手元がくるってこぼしそう・・。恥ずかしいってば」
からかい半分で後ろから抱き締め、桜にキスをした。
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