5.決断

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「支店長ったら、ほんと調子いいのよね。服部トレーディングとの提携話をしたら、すぐに融資を増やしたいって言い出したのよ」 テイクアウトしたランチを食べながら、桜が呆れ顔で言った。 「まぁそう言うなって。融資が増えたら、桜がやりたかったフェアトレードの取り扱いが増やせるじゃないか」 「そうだけど・・なんか全部、直生のお手柄みたいで面白くないんだもの」 「今回だけだよ。これまでの土台を守ったのは桜だし、これからを作り上げていくのも桜だろ?」 桜は箸を置いて、窓の外に目を向ける。 「父が急に亡くなって、本当はどうしたらいいかなんて分からなかった。 でも、いつも直生がいてくれたから、なんとかここまでやってこれた・・」 感謝してます、と桜は微笑んだ。 「桜」 「なに?」 「俺のこと、いつから好きだった?」 「え? うーん、いつかなぁ・・急に言われても」 「俺は・・桜が社長になる前から、ずっと好きだったよ」 ランチを食べながらサラッと言った俺に、桜は苦笑いした。 「会社のランチタイムに、そんな甘いこと言わないでよ」 「言いたくなったんだからしょうがない。なんならキスだってしても・・」 仕事にならなくなるからダメ!と、桜は慌てて両手で口を塞ぎ、俺はその手の甲にキスをした。
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