5.決断

18/18
1247人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
ゲストカードを用意し、エントランスのゲート前で西川を待っていた。 しばらくすると『お待たせして申し訳ありません』と、西川が迷いなく俺に近づいてくる。 こいつ、俺が分かるのか・・? 俺の目の前まで来ると、小声で『専務』と呼んだ。 「西川は俺が分かるんだな」 俺も小声で話しかけると、西川はニヤリと笑った。 「僕は全て見てますからね。なんなら、情事の後の色気ダダ漏れの専務まで」 「こら!」 「冗談ですって。先日南米に行った時、オフタイムの専務と何日かご一緒してますしね」 「そうだったな」 「でも、完全にオーラ消してますよね〜。周りも気づかないわけだ」 「今の俺は西川と同じサポート役だからな。目立つ必要一切無しだ。 じゃ・・行きましょうか、"西川さん"」 俺はゲストカードを西川に渡し、社長室に案内する。 「こんにちは。今日はお越しくださり、ありがとうございます」 「いえ、こちらこそ。たくさんサンプルをお持ちしましたよ」 西川がテーブルにガラスアクセサリーを広げると、それを眺めていた桜が嬉しそうに言った。 「地球の反対側の女性たちが作ったものを、私たちがこうして手に取れるなんて素敵よね。たくさんの女性たちが幸せになれるように、頑張らなきゃ。社内の女性スタッフと販売戦略を考えるわ」 桜の瞳が、キラキラと輝いていた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!