12人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「私の両親、仕事が忙しくてさ。いつも家に居ないんだよね。だから、普段は一人で過ごしているんだ」
「そうなんだ、知らなかった、よ……」
「いいの、由香里には今まで全然言ってなかったもん。そんな、暗い顔しなくても大丈夫だよ」
私はいつの間にか暗い顔をしていたようだった。その訳は、彼女も大変なのだなと思ったことと、それまで彼女がこの事を伝えてくれなかったことのショックが混じったからかもしれない。それと同時に、ああ、私は彼女に頼られていなんだなと直感的に思った。ちょっぴり傷ついた。直後、彼女は別の友達に呼ばれて向こうへと行ってしまった。
この頃の私は友美のことを不信に思う反面、心のどこかで頼ろうとしていたのだと思う。それはなぜか。なぜなら、私は独りだと思っていたからだ。いくら表ではいろんな交流や仲間がいようと、裏にどうしても満たされない気持ちがあった。私は寂しかった。
パーティーが続いている中、私は幾人かとの新しい出会いがあった。
「こんにちは。はじめましてかな?」
「はじめまして……」
「あ、私は桜木かりんっていうの。友美の中学の同級生」
「はぁ」
「よろしくね!」
「よろしく……」
桜木かりんはとてもお洒落な人だった。流行の色味のニットにダメージジーンズ。ニット帽に少し長めの黒髪。手にはドリンクの入ったグラス。同い年の高校生には見えなかった。彼女はすぐに私の横にあったソファーに座り込んだ。すると彼女は、私にも座るように促した。
「座ったら?」
「じゃあ、遠慮なく」
私もソファーに座る。かりんさんはグラスに入ったドリンクを一気に飲むと、私の方を向いた。私はなんだか照れた。
最初のコメントを投稿しよう!