青春

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 それから、お母さんはすぐに表情を明るくして、お菓子を袋から取り出した。私は少しだけお母さんの言葉に安心感を覚えた。後になって、お母さんは「あの時は何も言っても由香里の心がぐちゃぐちゃになるだけになるだろうから、あれ以上は言わないようにしたの」と話してくれた。私のお母さんには、とても大きな愛があったのだとつくづく思う。 「じゃあ、食べようか」 「うん」  お母さんが買ってきたお菓子はパウンドケーキだった。二つの皿にそれぞれ一個ずつパウンドケーキが置かれている。 「いただきます」  私はケーキを食べた。この日のケーキはとても美味しかった。続いてお母さんもケーキを口に運んだ。 「美味しいわね」 「美味しい」 「買ってきてよかったわ」 「ありがとう」 「どういたしまして」  私は自然と笑っていた。お母さんも嬉しそうな顔をしていた。ある程度食べると、お母さんはこんなことを言った。 「お母さんはね。世の中に対してもう少し、悩んだり、傷ついたりすることがあったら、悩みが吹き飛んだり傷を乗り越えられたりするまで、思い切り休んでも良いんじゃないかなと思っているの」  突然の言葉に私は話に追いつけなかった。 「急にどうしてそんなこと言うの?」 「いやね。あなたが少しばかり苦しそうだから」 「え、全然そんなことないよ」 「まあ、あなたがそう思うなら、それでいいけど」
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