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『まどかちゃん、また今度おいでね!』
彼女の一人一人への返信が流れてゆく。画面を見つめる。私の勉強の手は完全に止まってしまった。どうしようと思っていた。理由はないが、ただなんとなく行くことが億劫だった。それと、倉持咲のことがどうしても引っ掛かっていた。悩む。悩んでいると、グループチャットに友美から私宛のメッセージが届いた。
『由香里はどうする? 来るんでしょ?』
私は慌てて、返事のメッセージを打ち込もうとした。だが、すぐに言葉が出てこなかった。いつもなら深く考えずに行くと言えていた。言えていたのに、この時ばかりは言えなかった。私の心の奥の奥には、本当はイエスもノーもなかったはずなのに、できればノーを突きつけてやりたい気分になっていた。そうしている間に、他のメンバーからも同じことを聞かれ始めた。
『由香里ちゃんもおいで! 楽しそうだよ』
『そうそう、来なよ〜』
『あれ、由香里ちゃん今、メッセージ見てないかな?』
『どうだろう? わかんない』
『とにかく、楽しそうね』
『そうだね。だから、由香里もおいでね!』
私は、本当は、この誘いを断ろうと、心のどこかで考えていた。だけど、だけど、私は、気づけば、脊髄反射で了承のメッセージを打ち込んで、送っていた。
『わかった。私も行くね!』
ああ、何を言っているのだろうか。考え直してメッセージの送信を取り消そうと思ったが、もう遅かった。
『良かった! 楽しみにしててね』
友美からだった。続いて、他のメンバーも了承の返事を送ってきた。
『おお、由香里も来てくれるようで良かった!』
『由香里も来るのね! 了解!』
『由香里、オッケー』
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