青春

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 私は部屋に入るなりベットの上に突っ込んだ。「心を閉ざしている」そんなことを言われて反発しない人間などこの世には居ないのではないか。私は急に泣きたいと思って、目を潤ませようとするが、なかなか目から涙は流れなかった。 「ううう……」  泣きたい気分なのに、泣けない。ベットの上に寝転がってそんなことを思った。  私はどうしても心を開けない。どうしてそうなったのかにテレビでよく聞くような壮絶なものは無い。代わりに、長年の小さくて些細なことたちが徐々に私の心をそうさせたのだと思う。こんなことを考えている私は疲れているのだろう。そう思ったので、一通り勉強を済ませると、私は早々にお風呂に入った。気持ちは沈んでいる。体も徐々に沈ませていく。口を水中に入れたせいで、ぶくぶくと泡が立つ。  お風呂を出て、髪を乾かす。歯を磨きながらテレビを眺める。偶然流れていたニュースは学校内で起こったいじめが原因の事件だった。私はただただ、その話題を話す、キャスターやコメンテータのことを見つめていた。彼らは「いじめをなくすには心のケアを……」とか、「学校がこうだからいじめは繰り返される」とか色々言っている。彼らは本当に私たちが置かれている状況をわかっているのだろうか。私たちですら、よく解っていないことなのに。 「なんだかなぁ」  ベットの上で私はそう呟いた。この日、私の違和感は大きく膨らんだ。なぜかと言われると、それは、倉持咲のせいなのだろうか。  私はまとまらない感情たちを押し込めて、毛布を被った。最初は眠れなかったが、十分以上すると眠りに落ちていた。  この時の私の気持ちはとても、とても、ぐちゃぐちゃだった。
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