聖夜

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 程なくして、広間へと入った。その広間はとても広く、モダンなデザインと家具で印象が統一され、洗練されていた。まるで、ドラマのセットのような空間で、私はまたしても驚いた。周りを見回すと、既に何人かの客人がいた。顔を見ると、真希ちゃんたち、バスケ部のチームメイトや、知らない顔の人もいて彼女の交流の広さを改めて意識した。 「本番はこれからだから、呼んでいる子がみんな来るまで待っていてね」  友美はそう言って、広間から出て行った。お菓子は彼女がそのまま持っていってしまった。みんなで食べることを想定していたのだがなと正直思った。おそらく、何かの準備をしに行ったのだ。私は誰も使っていないソファーにとりあえず座る。しばらく、窓の外を眺めていると、真希ちゃんが横に座ってきた。 「やあ、来たのね」 「まあね」  彼女は手に持ったガラスのコップを口につけて、中のジュースを一気に飲む。「ぷはあ」と言ってから彼女は小さい声で喋り始めた。 「このパーティー、色々な人がたくさん来てるけど、本当に友達だから来た人って何人いるのかな?」  その話に私は思わず小さな声で、聞き返した。 「どういうこと?」 「彼女さ、自分から声をかける方じゃん」 「それはそうだけど、それが何?」 「本当は、みんな逆らえないだけな気がしててさ。私だって、出ておかないと彼女に避けられるような気がしてさ……」 「それは、そうかもね……」
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