聖夜

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 真希ちゃんの話に反論の余地はほとんど無かった。実際、これまで友美の意にそぐわないことをした人たちはみんな無視などをされていた。もしかすると、このパーティーに来ないという選択をした人たちはこのグループから外されてしまうのかもしれない。そんなことを考えると恐ろしいという言葉が浮かんできた。その瞬間、扉が開く音がした。私を含め全員が入り口の方を振り向く。そこには友美の姿があった。この部屋に静寂が訪れる。 「じゃあ、時間になったからパーティーを始めようか!」  彼女は拳を上げて朗らかにパーティーの始まりを宣言した。それに続いて、今度は私たちが「おー!」と言って、拳を上げたりした。  こうして、波乱のクリスマスパーティーが始まった。  いざ、始まってしまえばパーティーはとても楽しいものだった。友美が用意してくれた肉やパスタ、スイーツの数々は美味しくて、ついつい食べこんでしまった。それはこの場にいる全員に言えることで、みんな「美味しい」と口を揃えて用意されたものを食べていた。 「どう、美味しい?」  友美が明るい調子で声をかけてきた。 「美味しいよ」 「良かった。用意した甲斐があったよ」 「どうやって、こんな量を用意したの?」 「週一でお手伝いさんが私の様子を見に来るんだけど、昨日来てくれたから手伝ってもらった」 「へえ、そうなんだ」 「二人で用意するの大変だったから、喜んでもらえて嬉しい」 「え、二人?」  私は思わず質問していた。この時、友美の表情が一瞬だけ曇ったような気がした。それでも、彼女はすぐに明るい調子に戻ってこう答えた。
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