聖夜

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 私は大きなテーブルの上に並べられているケーキを一つとって、ソファーへと腰掛けた。ケーキをフォークで切り分けて、口へと運ぶ。私はケーキを食べながら考えてみた。友美はどうして、友達を求めておきながらいじめたりしているのだろうか。どうしたら彼女のことw助けられるのだろうか? もっと言えば、友美のせいで傷ついてしまったという倉持咲のこともどうしたら助けられるのか。助けるという言葉はもしかしたら上から目線な表現だとすぐに思い返す。じゃあ、どうやったら二人は仲直りできるのだろうかと改めて考える。私には友達と呼べる人はいないが、あの二人に何かをしてやりたいと浅はかながらに思った。どうしたら良いんだろうか。つい考えてしまう。二人を仲直りさせたところで、私には何の得もないのに。それでも、そうしなくちゃと心の中で感じた。だけど、私にはそれを実行に移す勇気はなかった。その場の勢いで、考えてはみたが、まず私にはこのことに踏み込む覚悟がないことに気づいた。それから、もし、それで私も無視されたら、今度は私が友美のピラミッドから蹴落とされてしまう。そうなったら、今度は私の方が辛くなるかもしれない。怖かった。私はこの時、自分が誰かに嫌われることが怖いことに気付いた。私は何もできそうにないと思った。やるせなくなって、ケーキをソファーの上に置いて、ため息をした。
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