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それからパーティーは一時間ほど続いた。お客さんたちはいまだに騒いでいる。隣に家が無いだけあって、近所に迷惑になっているのではないかという不安はあまりなかった。私も気持ちを切り替えて、パーティーを楽しんだ。ケーキーをもっと食べてみたり、真希ちゃんらと他愛もない会話をしてみたりした。それでも、このパーティーへの違和感は払拭しきれなかった。そういえば、友美はどこにいるのだろうか。少なくとも十分前からこの広間には居ない。興味本位で私は友美を探してみることにした。広間を出て少し歩いて、部屋を探す。静かなリビング、散らかったキッチン、どれも私の家から比べれば羨ましくなるほどに綺麗で広かったが、そこには居なかった。仕方なく私はこれまた大きな二階へとつながる階段で上へと上がることにした。
「おじゃまします……」
二階へと上がると、廊下の途中で扉が七つ程あった。おそらくのこれらの扉のどれかの向こうに友美はいる。私は扉を一つ一つノックして確かめることにした。
一つ目の扉はハズレだった。特に反応がない。二つ目を叩いてみたが、これも応答なし。三つ目も四つ目もだめだった。
「どこだろう……」
五つ目の扉を叩く。すると、扉の向こうから、
「誰?」
と声がした。
「あ、由香里だけど。どこにいるのかなと思って探してた」
「あ、ごめんごめん。今、パーティー最大の見せ場の用意してるから、下で待っていて!」
彼女は扉ごしにいつも通りの明るい声で話していた。
「わかった。じゃあ、下で待ってる」
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