聖夜

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 私はこの時、倉持さんのことも話して見ようかと考えたが、いざ実際に話しかける勇気はなかった。元来た道を歩き始める。彼女は何をしているのだろうか。でも、みんなを楽しませようと準備をしているのだということは理解した。  下へと戻ると、みんなはまだまだこれからと言わんばかりに思い思いに盛り上がっていた。様子を見ていると彼女らはこの刹那を精一杯生きているのかもしれない。不思議とそう思える。私もそれに混ざろうと思って、輪に入った。とても楽しかった。しばらくすると友美が戻ってきた。手には大きな何かを抱えている。 「じゃあ、クリスマスパーティー恒例のビンゴ大会を始めるよ!」  彼女は大きな声で高らかにこう告げた。 「ルールは簡単。ビンゴが三つ揃ったらプレゼントを差し上げます。景品の内容はいつも通り先着順。一番最初にビンゴを三つ揃えたら一等賞」  彼女の昔からの仲間たちは、ビンゴと聞いて歓声をあげた。私たちも勢いで歓声をあげる。だけど「恒例の」と言われても私にはいまいちピンと来なかった。そう思っていると、かりんさんが私の方へと来て、ひそひそ声で喋りかけてきた。 「ビンゴ大会は昔からずっと、やっててね。かなり盛り上がるの」 「そうなんですね」 「これ、景品がかなり豪華で、一等賞が最新の高級コスメ」 「本当ですか?」  私とかりんさんが話している間にも友美はビンゴ用の小さなガラガラをテーブルの上に置いた。 「今から、これからカードを配るね」  友美はビンゴのカードをその場の全員に配りはじめた。一人一人、丁寧に渡して回る。私が友美の様子を眺めていると、かりんさんが肩を叩いてきた。 「じゃあ」
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