聖夜

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 友美が不思議そうな顔をした。彼女はすぐに「少し待ってて」とみんなに言ってからこの部屋を出ていった。このタイミングで誰かが来たのだろうか? 私は少し変に感じた。それは、ここにいる全員が同じ考えだったようで、ひそひそ声で「どういうこと?」と言っていた。時刻は午後四時。こんな時間にから参加するとは珍しいなと思う。私は友美が誰かを連れて戻ってくるのを待つことにした。  友美が出ていってから何分かが経った。もうそろそろ戻ってきてもいい頃合いなのに、彼女がなかなか戻ってこない。ここにいる全員が待ちぼうけしていた。待っている間、私はあることを思い出した。 『そういえば、友美が毎年クリスマスにパーティーをしているのだけど、今年はあなたも来る?』  少し前に聞いた倉持咲の言葉が頭を過ぎった。彼女はこれまでこのパーティーに来ていたのだろうか。少なくとも今、ここには居ない。そう思った時、私はあることに気づいた。 「え、ちょっと待って!」 「由香里!?」  私は急いで広間を出た。数時間前に通った、玄関までの道を急ぐ。もし、倉持咲がこのタイミングで来たとしたら、友美はどんな反応を示すのだろうか? そう考えたら、二人は喧嘩をしてしまうような気がして、私は急いで誰が来たのか確かめたくなった。  玄関まで走っていると段々、声が聞こえてきた。 「入れてよ!」 「だめ、来ないでよ!」  ああ、そんな。本当に来てしまったのだろうか。友美と誰かが言い争う声がする。玄関の前まで来ると、そこには友美と倉持咲の姿があった。 「何してるの!」
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