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友美と倉持さんの喧嘩から三十分ほどが経って、私は荷物を持って、友美の家を出た。その時、彼女の家からやけに冷たい空気が、私の心に流れ込んできた。それは友美が持つ負の感情がそう感じさせているのか、それとも、石崎家全体が持つ空気なのかは判別はつかなかった。あの後、改めて、かりんさんに聞くと、友美の両親は共働きで、あまり家にいることは少なく、今では、彼女のことを置いて、海外にいるとのことだった。彼女の家族が家に居ないことと、彼女の言動にどういう関係性があるのかは、わからない。だけど、それは誰か、あるいは友美自身が何とか乗り越えなくてはいけないことのような気がした。
帰り道、自転車を漕いでいるとイルミネーションが目に入ってきた。カラフルに点滅する大きなクリスマスツリー、袋を担いだサンタクロースの格好をしたおじさん、それに群がる子供たち。その時、私は、世間はクリスマスだったことを思い出した。思い出したけれど、それを喜べる気にもなれなかった。思わず、自転車にブレーキをかける。何も考えずにぼーっとしてみたら、案外それだけで、気持ちが落ち着いた。
空はすっかり暗くて、星がところどころ見えている。この時の私の気持ちもこんな感じだったのだろうか。後になって考えてみたが、この頃の私の気持ちはぐちゃぐちゃになっていて、今でも上手に表現ができないでいる。
この後、私はお母さんのためにチキンを買ってから家へと戻った。
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