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今夜は恋人同士でしましょう、と央樹をベッドへと誘った暁翔は、組み敷いた央樹の服を全部脱がしてから、あちこちにキスをした。
「マーキングされてるみたいだな」
「まあ……変わらないですよね。央樹さんはおれのものってしるし、付けておきたい」
首筋にことさら強くキスをされ、央樹の肌が震える。プレイだと、そんなに恥ずかしくないのに、今はすごく恥ずかしかった。見上げる暁翔の表情がいつもよりも優しいからだろうか。
「結城……そんなに優しくしなくていい、から……」
「でも、央樹さんは優しい方が好きですよね? 思い切り優しく、甘やかしたいです」
「けど……プレイでもないのに……」
肌を滑る指はとにかく優しくて、柔らかく触れられているだけなのに、央樹の中心は既に反応してしまっている。一方の暁翔はまだ服も脱いでいないというのに、温度差が広がっていくような気がしてなんだか少し切ない。
「プレイだけじゃなくて、恋人も甘やかしたいんですが、ダメですか?」
暁翔が央樹の髪をさらさらと撫で、こちらを見つめる。その視線さえも体温を上げるもののようで、央樹は暁翔から視線を外した。
「……甘やかされたい」
央樹の言葉に暁翔が、嬉しいです、と弾んだ声で答える。それに央樹は、でも、と暁翔を見上げた。
「結城も、僕と同じように感じて欲しい」
央樹が手を伸ばし、暁翔のシャツのボタンを開く。それを見ていた暁翔が央樹の手を取った。
「央樹さん、今、おれが感じてないとでも思ってるんですか」
言いながら央樹の手を自らの股間へと当てる。それに触れ、央樹が驚いて赤くなった。
「まだ、キスくらいしかしてないのに、おれ、もう窮屈になってるんです……央樹さんとこれから抱き合えるって思うだけで、こんなになってるんです」
あまり煽らないでもらえますか、と暁翔が眉を下げる。央樹は少しだけ体を起こして、暁翔にキスをした。舌を出し、暁翔の唇を舐めると、それが開く。舌を絡めるような深いキスをしてから、央樹はゆっくりと離れる。
「……言ったそばから……」
「もっと、欲しがれ。僕は全部、受け止める。結城なら……暁翔なら何も怖くない」
パートナーを持つことが怖かった。まして恋人を作るなんて、もっと怖かった。
そんな自分に暁翔は寄り添って、ゆっくりと距離を縮めてくれた。だからだろう、暁翔のことを一度も怖いと思ったことはなかった。
「……愛してます、央樹さん」
暁翔は甘く微笑むと、央樹の左手に収まったリングにキスをした。それから、央樹を抱きしめ、唇にさっきよりも深いキスをする。
「僕もだ、暁翔」
唇が解放され、央樹が暁翔の耳元で囁く。暁翔はそれに頷いてから、央樹の中心に手を伸ばした。
「もうトロトロでしたね」
「あ、暁翔が、キスばっかりで触らないから……」
「キスで感じてたってことですか?」
改めて言われると、それはすごく恥ずかしいことのように思え、央樹は真っ赤になった。逃げ出したい気持ちで暁翔を見上げると、その顔はなんだか嬉しそうだ。央樹はその顔を甘く睨み返す。それでも暁翔の表情は変わらなかった。
「……暁翔のも、触りたい」
自分はこんなに恥ずかしくて余裕がないのに、暁翔はいつまでも楽しそうで、なんだか腹が立った。央樹の言葉に暁翔が慌てる。
「そんなことされたら、すぐいっちゃうので嫌です」
「いけばいいだろ」
「嫌ですよ。央樹さんとの初めてなのに、もっとカッコよくいたいです」
暁翔が真剣な顔をする。その理由がなんだか子どもっぽくて、央樹は思わず笑ってしまった。央樹さん、と拗ねた声が落ちてくる。
「いや、悪い。可愛いな、と思って」
央樹が笑うと、少し不機嫌な顔の暁翔が、央樹の口を塞ぐようにキスをする。
「もう、おしゃべりお終いです」
あとは可愛い声だけ出してて、と暁翔は耳元で囁くと、再び央樹の中心に触れ、その手をゆるゆると動かした。
「ん……」
「こっちも触りますね」
中心から溢れる先走りを指にとり、暁翔が央樹の後ろに触れる。前に触れられたのは風呂の中だったから、特に気に留めなかったが、今日は静かな部屋のせいだろう、くちゅ、と自分の中を拓いていくその音が響いてそれだけで少し興奮する。暁翔が自分の中を暴いていく音だと思えばドキドキしてしまう。
「やっ、あ、きと、そこ……!」
内側から前立腺に触れられ、央樹の体がびくりと跳ねる。その様子を見ていた暁翔がふわりと笑んだ。
「ここ?」
とんとん、と指の腹でその一点をノックされ、央樹は体を捩った。感じすぎて怖い。
「や、も、暁翔の、ほし……」
繰り返される快感の波に耐え切れず、央樹が暁翔に腕を伸ばす。暁翔は央樹の指に自分のを絡め、強く握った。
「まだ早いです。もっと、じっくり解さなきゃ」
おれの結構大きいから、と言って、暁翔は指を止めずに微笑む。
「む、り……も、いっちゃ、う……!」
央樹の目から、涙が零れる。暁翔は手を解き、涙を掬ってから、頬にキスをした。
「ちょっと苛めすぎましたね。いく前の方が辛くないと思うので……央樹さんを貰っていいですか?」
優しい暁翔の顔に、央樹が頷く。すると、暁翔は央樹の後孔に自分の中心をぴたりと付けた。熱いそれに、央樹の心臓は壊れそうなくらい鼓動を強く速くしていく。
ゆっくりと道を拓くように、暁翔の中心が自分の中へと入ってくる。確かに少し痛いし、苦しいけれど、暁翔と繋がれたことがとにかく嬉しかった。
「……平気、ですか?」
「ん……暁翔、は?」
「めちゃくちゃ気持ちいいです」
その正直な言葉に央樹が小さく笑む。そんな央樹に暁翔が短いキスを落とした。
「やっと、央樹さんを手に入れた……」
暁翔が央樹を抱きしめる。その腕の強さに暁翔の本気を見た気がして、央樹はそっと暁翔の背中に手を廻した。
「好きだよ、暁翔」
同じ強さで暁翔を抱きしめる。暁翔はそれに、はい、と頷いた。
「おれも、愛してます」
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